(『慧妙』H28.5.16)
宗教法人の特権活かした選挙運動は「適用違憲」
学会のための公明党の政治力行使は政教一致
この夏の参院選、また巷間囁(ささや)かれる衆参同日選に向けて、創価学会の選挙活動にいよいよ熱が入ってきた。花見を口実に人を誘い出し、公明党の功績を熱っぽく語る学会員。普段は目を逸(そ)らし、避けて歩いている法華講員にさえ、作り笑顔で近寄ってくる学会員等々―。この学会と公明党の関係に、果たして正義はあるのか、それを今、改めて問う。
学会幹部が座談会で盛んに″予防線″
厳然たる事実の前ではそれも徒労に
今や完全に選挙体制に突入している創価学会―。その創価学会が一番畏(おそ)れるのが、創価学会の選挙活動を「政教一致」だと批判され、これに会員が萎縮すること。そうした批判に対抗しようと、例えば『創価新報』(四月二十日号)では、青年部幹部の紙上座談会で、次のような論陣を張っている。
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宮尾 それはそうと、選挙が近づいてくると、政治と宗教の関係について、騒ぎ立てる勢力があるが、もう一度、ここで整理しておきたい。
鈴木 そもそも、「政治参加の権利」は、憲法で全国民に等しく認められている。基本的人権の柱です。
渡部 憲法でうたわれる「政教分離」の原則にしても、国民の「信教の自由」を保障するためのものです。
宮尾 英語でも「政教分離」のことを「セパレーション オブ チャーチ アンド ステート(国家と教会の分離)」といいます。「政治」と「宗教」の分離を言っているのではない。
橋元 「政教分離」の原則について、その眼目は、あくまで「国家の宗教的中立性」という点にある。
竹岡 その通りです。たとえば、国家が特定宗教に特権を与えるとか、統治権の一部をゆだねるとか、特定宗教の儀式 行事を行なうなどのことがあってはならない。そのような仕組みが、「政教分離原則」なのです。
鈴木 あくまで、「国家権力が宗教に介入しないこと」であり、「宗教団体が政治活動や選挙運動することを阻害(そがい)するものではない」ということですね。
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本紙は、宗教を信ずる個人が、個人の意思で選挙活動をする、あるいは、宗教団体が政治活動・選挙活動をすること自体にまで、文句をつけるつもりは全くない。
問題なのは、公益法人として免税特権を付与されながら、その宗教施設を選挙のためにフル活用する宗教法人、すなわち創価学会が行なっているような選挙活動は違憲である、ということ。
また、これまで創価学会が主張してきたように、学会・公明党の目指すのは「王仏冥合(=政治と宗教が一体となって融合した状況)」であり、その目的は池田大作が「こう言うとまた政教一致と言われるけどね。教義を実現するためには、政治の力が必要です。そういう目的で公明党を作ったのだから。それは変わらないですよ」(平成六年九月十四日・記者懇談会)と発言したごとく、学会の教義を政治力によって実現するためである。とすれば、それは当然「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」との、憲法第二十条後段の条文に抵触し、「政教分離原則」違反になる、ということである。
税法学者が指摘した政治活動の問題点
非課税特権活かした活動は「適用違憲」
まず、第一点目の公益法人たる宗教法人の政治活動について、その問題点を指摘する。
税法学者の北野弘久氏(元日大名誉教授・故人)はかつて、本紙の取材に応(こた)えて
「憲法二十条に『信教の自由』という規定がありますが、その中には宗教と政治の分離の規定が含まれています。
また憲法八十九条には、税金の使い方の問題ということで、宗教団体に公金を支出してはいけない、という規定があります。これは、税の面から憲法二十条の政教分離原則を担保するための条項です。
こうした憲法規定に照らし合わせたとき、学会の選挙活動には税法上問題がある、と指摘せざるを得ません」
と指摘。続けて
「アメリカでは、国税庁が宗教団体の活動実態を調べた上で、個別に免税特権を与えるかどうかを決めています。つまり、宗教法人であっても、政治活動や営利事業を行なっている実態があれば、免税特権を剥奪(はくだつ)されます。例えば、牧師が一市民の立場で自分の政治信条に従って活動することは認められますが、教会の牧師という立場で話したことが分かれば、免税特権を剥奪されます。それほど厳格に政教分離が行なわれているのです。
これに対し日本では、実態がどうあろうと、宗教法人の施設であれば、基本的に課税されない現実がある。
ただ、固定資産税や都市計画税は、固定資産についての現況課税の租税であり、地方税法四〇八条は、当該物件に対する課税庁の毎年の実地調査を義務付けていますから、たとえ、それが宗教法人の施設であろうと、利用状況を精査した上で、課税・非課税を決めなければならないはずなのです」
と語った。
選挙のたびごとに、創価学会の施設が〝裏選対〟として使われていることは、元公明党委員長の矢野絢也氏や元公明党副幹事長の福本潤一氏が指摘しており、また、活動家学会員なら誰もが承知している事実。
北野氏は、
「そういう実態があり、これに対して実地調査が行なわれない、当然ながら課税もされない、ということになれば、それは『適用違憲』ということになります。
つまり、本来なら課税すべきところを課税しないというのは、税額相当分を宗教法人に〝補助〟したことになる。私はこれを『隠れた補助金』と呼んでいますが、これは宗教法人に対する公金の支出を禁じた、憲法一四条・二〇条・八九条に抵触することになり、非課税規定を適用すべきでないのに、同非課税規定を適用することは『適用違憲』ということになるのです。
こうした状況は、関係自治体の不作為の違法―本来行なうべきことを行なっていない違法な状態―ということになり、関係自治体は即刻、調査に入って、追徴課税すべきですし、もし過去にも同じ状況があったとすれば、遡(さかのぼ)って調査し、追徴課税が必要なら、即刻課税するべきなのです。
もし自治体がこれを行なおうとしないならば、取るべき税金を取らないことになり、公金の管理を怠(おこた)ったことになって、住民監査請求の対象になり得ます。場合によっては住民訴訟の対象にもなるでしょう」
と指摘していた。
北野氏はさらに、学会職員等の選挙運動に関しても、
「彼らが、学会職員の立場で選挙活動を行なっていたとすれば、これも問題です。専従職員ではなくても、たとえば交通費などを支給されている幹部も同様です。彼らに支給されていた給料や手当の一部は、施設の固定資産税同様『隠れた補助金』に該当する、といえるでしょう」
と問題提起していたのである。
このように、創価学会における政治活動選挙運動の実態は、税法上、違憲である可能性が濃厚なのである。
「政治力の特権を行使」すれば憲法違反
隠そうにも隠しおおせぬ池田発言と事実
第二点目の、学会の教義を政治力を行使して実現する、という点は、さらに重大な問題を孕んでいる。
この点をごまかそうとして、学会では盛んに「宗教者や宗教団体が政治活動をすることは違法ではない」と強調しているが、問題なのは「宗教団体が政治上の権力を行使すること」なのである。
すなわち、公明党の人事権を創価学会が握り(※公明党の委員長は、選挙によらず、学会の意向によって決まる)、その上で、
「創価学会と学会員を守る。それが公明党だ」(斉藤鉄夫元環境大臣への池田大作の激励)
「教義を実現するために公明党を作った」(前出)
と豪語し、事実それを裏付けるものとして、学会からの要請を受けた公明党が創価学会への国税の調査を妨害し、手心を加えさせた―等の指摘が元公明党委員長らからなされていることは、明らかに政教分離原則に違反している、といわざるを得ない。
しかも公明党は、平成十一年以来、自民党と手を組んで政権入りし、与党として政治権力を行使できる立場にある。ならばこそ、学会=公明党の政教分離違反の疑惑について、糾明していくべきことは、当然すぎるほど当然であろう。
以上に述べてきたような、学会・公明党の政教一致疑惑について、名だたるマスコミ・ジャーナリストが沈黙していることは、犯罪的ですらある。
我々は、創価学会員に対する折伏に励むと共に、日本国民として、この重大な政教一致疑惑についての理解を深め、世の多くの人々に知らしめていかねばなるまい。